ついに彼のご両親とお逢いする日がやってきました。

会社がお休みの土曜日、彼の実家は千葉市内。最寄りの駅まで迎えに来てもらって、2人で歩いてご自宅に行きました。じつは、社内では彼はいいお家のお坊ちゃんという噂がたっていたので、緊張でドキドキです。

「こんなどこの馬の骨かわからない子」とか言われないように(笑)、いつもより念入りに支度して、ふだん着るのよりは上品めなワンピースも新しく買いました。でも心配するほどのことはなく、ものすごい豪邸だったらどうしようと思っていたお家も、わりとふつうの二階建てで、ちょっとほっとしました。

小奇麗で品よく、お庭には花がたくさん咲いていて、ハーブも植えられているような、そんなお宅。和やかに会話が進み、彼のお母様の手料理も美味しくいただきました。いっしょに写真も撮っていただいて、その日は早めに失礼しました。

問題は翌週です。お母様への印象が気になっていたわたしは、週明け、会社の帰りに待ち合わせして、彼を質問攻め。わたし、どうだった? お父様とお母様、なんておっしゃってた? 撮った写真もタブレットで見せてもらいました。楽しそうに笑ってるわたし。けっこう可愛いじゃん。

なんて思ってたら、彼がこんなことを言い出したんです。「親父はものすごく気に入ってたよ。可愛らしい人だ、明るいし、頭も良さそうじゃないか」って。親父は? ということは、お母様は?

彼は言い渋ったのですが、さんざん問い詰めてついに白状させました。

「優しそうなお嬢さん。とてもしっかりしてるわ。ただ……」

「ただ?」

「歯並びがちょっと残念ねぇ。お育ちが……親御さんがちゃんとしてくださらなかったのかしら」と! ガァ~ン!

「いや、僕はとても可愛いと思うよ、ゆかりんの八重歯。年寄りにはわからないんだよ。いいよ、気にしなくて」。フォローを入れる彼。

頭に、「歯並び、お育ち」という言葉がぐるぐるとうずまいています。

どうしよう。